近年、企業活動のグローバル化と軌を一にして、日本の衰退が叫ばれている。その背景に日本人の「宗教軽視」があることは意外に自覚されていない。いくら良い製品であっても、それが宗教を含む消費者の文化的ニーズに合わなければ、売れるはずがない。世界の多くの国や地域では、宗教が日常生活はもとより、国家の在り方にまで大きな役割をはたしている事実を知らなければならない。 本書はこうした視点から、いま世界を根底から動かしていると言えるユダヤ教、キリスト教、イスラム教について比較解説した。実はこの3宗教は同じルーツを持っている。その後、ユダヤ教は今日の金融経済を牛耳り、キリスト教は近代資本主義を生み出し、イスラム教は独自の金融システムと独裁政治を特徴とする文化圏をつくり出した。いったいこれら3宗教が、なぜ、どのようにして世界の枠組みをつくったのか? グローバル時代の常識として、ぜひ読んでおきたい一冊である。