極限状態を生きのびた人の証言を元に描く、異色のホロコースト研究。 ヨーロッパのユダヤ人600万人を襲った未曾有の大虐殺、ホロコースト。 本書は著者がイスラエルに赴き、日本で初めてその生還者たちに 直接インタビューした貴重な証言集である。 アンネの最期の様子を知る友人を始め12人が、 収容所を奇跡的に生き延び、戦後イスラエルに定住するまでの 劇的な人生のストーリーを生々しい言葉で多様に語り、深い感銘を与える。 著者によるヨーロッパ各地の収容所跡地の旅行記も臨場感を高めている。 〈主な目次〉 記憶の戦い─本書に寄せて 滝川義人 まえがき はじめに─私とホロコースト、その歩みを中心として ■第一章 ホロコーストとは何か I 「ホロコースト」という用語に関して II ホロコーストの歴史的背景―特にヨーロッパにおける反ユダヤ主義の系譜 1 キリスト教に基づく反ユダヤ主義―改宗か追放それとも死か 2 世俗国家による反ユダヤ主義―特にドイツを中心として III ユダヤ人問題の「最終解決」と絶滅 1 ホロコースト前夜―ヒトラー誕生から政権獲得まで 2 ユダヤ人の絶滅プロセス IV ホロコーストの後に ■第二章 ホロコースト・サバイバー I ホロコースト・サバイバーとは誰のことか II ホロコースト・サバイバーの問題―主として心理社会的な視点で 1 サバイバーに特徴的な心理社会的問題 2 チャイルド・サバイバーの問題 3 コンスピラシー・オブ・サイレンス―沈黙を申し合わせたかのような現象 ■第三章 夜の記憶─ホロコースト・サバイバーの証言 I インタビューにいたるまでのプロセス II 証 言 ハンナ・ピック・ホスラール<アンネ・フランクの最期の様子を知る幼友達> サラ・ブラウン<不屈の意思でアウシュビッツ・ビルケナウを生き残った女性> ミラ・ホワイト<地獄を生き抜く知恵と希望> ダヴィッド・ゴールドスタイン<死の淵で見た母親の夢> マヤ・グリーン<壁にぶつけられた赤ん坊―「すべてが地獄だった」> シーマ・スクルコヴィッツ<歌が支えた地獄の日々> リーシャ・ローズ<機転と直観力に優れたユダヤ人救済組織の活動家> ドーブ・フライバーグ<射殺される夢に悩まされ続けたソビブールの生き残り> メイール・エルダール<地獄のプアショフを危機一髪で生き延びた少年> III チャイルド・サバイバーの証言 エフード・レーブ<フランスの「子供の家」に一人匿われた少年―「自分は誰の子供なのか」> アモス・バッソ<逃亡に明け暮れた幼児期―「六歳までの自分とは何者だったのか> シーラ・レヴィット<男の子に返送して生き延びた少女> おわりに:現代社会でホロコーストを証言していくことの意味―言葉による記憶伝達の可能性と重要性 註/年表/あとがき/資料