福音書をユダヤの視点で読み直すとき、そこに描かれているのは紀元1世紀のイスラエル――ユダヤ社会の中に生きるユダヤ人イエスの姿である。難解な内容をヘブライ語に訳し戻すと、明快な力強さで甦る。 好評をいただき、再版希望が多数寄せられていた名著『イエス時代の背景』『主の祈りのユダヤ的背景』『イエスはヘブライ語を話したか』から主要部分を再編集し、新たな記事を付加した。 キリスト教徒とユダヤ教徒の学者が共同して共観福音書(マタイ、マルコ、ルカ)を研究する「共観福音書研究エルサレム学派」の研究成果。 ――目次―― 編者まえがき 著者紹介 Ⅰ『ルカによる福音書』のユダヤ的背景 S.サフライ 1章 アビヤ組の祭司 2章 ザカリアの名誉な務め 3章 ナジル人ヨハネ 4章 洗礼者ヨハネの命名 5章 神殿における女性の役割 6章 イエス時代の巡礼 7章 会堂と安息日 8章 百人隊長と会堂 9章 本当に安息日を破ったのか? 10章 師と弟子 Ⅱ『主の祈り』のユダヤ的背景 B.ヤング 序 「弟子たち」の祈り 1章 天の父 2章 聖ということ 3章 イエスの御国 4章 みこころ 5章 日ごとのパン 6章 負 債 7章 試 み Ⅲ イエスはヘブライ語を話した D.ビヴィン/R.ブリザート はじめに 1章 アラム語・ギリシア語説の検討 2章 言語学上の最近の研究からヘブライ語説 3章 聖書外資料からの証言 4章 福音書テキスト自体からの証言 5章 原ヘブライ語福音書テキストの復元 6章 誤訳による神学上の誤り Ⅳ ヘブライ語から聖書理解を D.ビヴィン 1章 「神の国」の意味 2章 言葉の文化的背景の違い――「きつね」の例 3章 「天国の鍵」は何か 4章 ファリサイ派とイエス 5章 イエスの宮潔め 6章 耳に置く 7章 「顔」を含むヘブライ語表現 8章 平安の子 Ⅴ 共観福音書の忘れられた重要問題 R.リンジー 1章 マルコによる福音書の優先説を問う 2章 「福音」というキーワードから分かること