現代は強迫パーソナリティの時代である。そのパーソナリティ構造の極端なものが、精神科医を訪れる患者の大部分を占めている。すべての強迫パーソナリティが社会的に不適応を起こしているわけではなく、逆に社会の中にあって、ときには高い社会機能を果たしている人も少なくない。 本書のユニークな点は、第一部として強迫パーソナリティ(あるいは強迫的な生き方)の記述、第二部にはその破綻としてのいくつかの病態(うつ状態、恐怖神経症、強迫神経症、嗜癖状態、ギャンブル、盗癖、自慰など)を簡単にスケッチし、最後に第三部として(個々の病態ではなくて)強迫パーソナリティの精神分析療法をおいていることであろう。重心はあくまでも強迫パーソナリティにある。 著者サルズマンはワシントン精神医学校でトレーニングを受けた、サリヴァンの流れを汲む精神分析医で、現在ジョージタウン大学臨床教授。 「治療は、困難ではあるが成功することも非常に多い。その結果、もはや〈絶対的で不可能な要求〉にしばられない、より自由な人間が生れる。」