「あさになったので まどをあけますよ」 子どもたちが、部屋の窓をあけます。 新しい一日を迎えるために、毎朝、窓辺に立つのです。 「やまは やっぱり そこにいて きは やっぱり ここにいる」 そこから見えるのは、いつもと変わらない風景。 もちろん、窓を開けてそこにあるのは山ばかりではなく。 にぎやかな街が見える窓だって、のんびりと流れる川が見える窓だって。 たくさんのお花が目に飛び込んでくる窓や、風が気持ちのいい窓だってあります。 どこかの知らない国に住む、あの子の窓辺はどんな景色だろう。 そこには、いつもと変わらない景色がある。 だから、ここが好きなのです。 晴れている街もあれば、雨がふっている場所もあるでしょう。 君のところはどう……? 何気ない日々の繰り返し、毎日変わらずにある景色の中にいる自分。そこにこそ、その中にこそ、生きることの喜びがある。そんな強い思いが込められた、荒井良二さんのこの絵本に登場する景色には、すべてに明るい朝の陽ざしがふりそそぎ、とても清々しく、読む人の心をまっさらにしてくれます。 「ああ、今日もまた新しい一日がはじまる。」 そう思えることの幸せ。 私たちは、絵本を開くたびに味わうことができるのです。